ワインを選んでいるときに良く目にするPPと言う文字。パーカーポイントって何?

雑学
Close up of critic holding red wine glass at table. Documents and pencil for evaluation.

「パーカーポイント 95点」

ワインを選んでいると、時折このような表現を目にするかと思います。

その名の通りロバート・パーカーというワイン評論家が付けているワインの点数なのですが、ワインのおいしさや価値という、明確な判断基準がないものを一体どのようにして点数化しているのでしょうか?

参考にしている人、していない人、賛否両論あると思いますが、彼のワインを評価する姿勢や類まれなる情熱について知れば、ワイン選びがもっと楽しくなると思いますよ!

パーカーポイントの誕生

Man surprised by wine.

アメリカ人であるパーカー氏は、学生時代に当時の恋人に会うためにフランスを旅し、大好きだったコーラよりも安かったワインをレストランで頼んだことがきっかけでワインに目覚めたといいます。

帰国後に彼が弁護士となってからもワインへの情熱が冷めることは無く、本業の傍らワインに関する記事を書き始めます。

そして、ワインに対する情熱が次第に大きくなるにつれパーカー氏は、1970年代当時に出版されていたワイン評論誌の評価のあり方に疑問を抱くようになりました。

当時の評価誌は、ワイナリーや販売店がスポンサーとなって広告費を支払い、その資金で運営がなされていました。

そのため、広告主のことを悪く書けず、評価誌として消費者に正当な評価が届いていないとパーカー氏は疑問に感じたのです。

man on a wine tasting session on the visual phase is writing down in a wine tasting sheet at a restaurant.

そこで、現在の「ワインアドヴォケイト」の前身となるワイン評価誌を自ら創刊して、消費者に対して情報を発信することに決めました。

パーカー氏の雑誌は、他者からの干渉を一切遮断するためにスポンサー契約はせず、ワイン産地への旅費・出版費は全て自腹でまかなっていました。
(現在のワインアドヴォケイトも読者の購読料によって支えられています。)

現地でのワイナリーや販売店の接待も受けず、当時では珍しいブラインドテイスティングによって、先入観まで徹底して排除し、感じたままのコメントを消費者に届けるその姿勢は、消費者からの信用を徐々に得ていくことになります。

パーカー氏はワインをこれまでの20点満点のイギリス方式ではなく、消費者にとってわかりやすい100点満点で評価していたという点や、10年前にたった1度飲んだことがあるというだけのワインをブラインドテイスティングでぴたりと当てるといった、類まれなるテイスティング能力も読者の信頼を得る理由になっているのです。

パーカーポイントが世界に与えた影響

こうして彼の評価は世界的なものとなり、もともとは無名だったワインをパーカー氏が高得点を付けたために流通価格が一気に高騰した、シンデレラワインと呼ばれるものも現れました。

無名だった素晴らしいワインを数多く発見した彼の功績は素晴らしいものでしたが、同時に、ワインを高く売るために「パーカー氏から高評価を得やすいスタイルのワイン」を造る生産者が急増するといった事態を招きました。

このような動きはパーカリゼーションと呼ばれ、品種やテロワールの個性や可能性を狭めてしまう恐れがあるとの指摘もあります。

一見、消費者目線で公平にワインを評価していきたいという想いとは真逆の結果となっているかのように思えますが、パーカー氏自身は、私の好みは非常に複雑で、リッチな味わいだけではなく、エレガントさや滑らかさを全面に押し出したワインも好きだと反論しています。

彼のワインの評価に対して徹底した公平性を保とうとする姿勢を考えれば、自分の好きな味のワインを世界に増やそうという考えを持つこと自体、ありえない話ではないでしょうか?

まとめ

Enjoy wine regardless of style.

パーカーポイントはワイン選びの一つの指標となりますが、全ての人に対して絶対的なものではありません。

現在ではワインを点数で評価する多くの評論家や雑誌が溢れており、評論家の点数の傾向は全て把握できませんし、好みや大人の事情によっても評価は簡単に分かれます。

さらに、我々消費者それぞれの好みも千差万別ですので高得点=おいしいワインとは一概に言えないでしょう。

点数の特性を理解し、自分の好みと照らし合わせながら自分でも評価を行っていくことで、パーカーポイントのようなワインの点数と楽しく向き合えるのではないでしょうか?

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