ソムリエは知っています。そのワイン「ブショネ」では?

雑学
Smelling cork of alcoholic drink in wine cellar

皆さんはワインを飲む時に何を感じますか?

酸っぱい、渋いといった味わい以外にも、フルーティー、熟成してる!といった個性的な香りも楽しんでいると思います。

そんなワインの魅力を大きく支えている香りですが、楽しみに買ってきたワインを開けてみると、なんだこのカビ臭は!と、強烈な匂いに驚いてしまうことも。

そういったワインは「ブショネ」かもしれません…。

ブショネとは?

cork

ブショネとは、劣化したワインを表現する言葉の1つで、コルク栓に潜む細菌の働きによって、ワインにカビ臭い匂いを与えてしまうことを言います。

このカビ臭い匂いの原因は、TCA(トリクロロアニソール)という物質なのですが、なんと不快な風味を与えてしまうだけではなく、味覚を麻痺させ、ワインの果実味を感じにくくもしてしまうのです。

TCAはコルクの漂白に用いられる薬剤や、殺虫剤の成分が変化して発生すると考えられていたため、多くのメーカーはそれら薬剤の使用をとりやめたのですが、ブショネが根絶されることはありませんでした。

現在では、天然素材であるコルクからブショネを根絶することは不可能であると考えられており、プラスチック製コルクや、金属製スクリューキャップなどを用いてブショネを防ぐメーカーも増えてきました。

しかし、ソムリエの華麗な抜栓や、高級ワインの雰囲気を担う一員として天然コルクは必要不可欠なものだと、まだまだ多くのワインファンに天然コルクは支持されています。

ブショネをどのように判断するのか?

musty

ブショネについて知ると、ワインを開ける度に不安になってしまいますよね。あれ、このワイン少しカビ臭い気がする…。ブショネかも…。

ここではブショネを判断する方法をご紹介します。

まず、ブショネの香りを表現する言葉として、「廃墟のよう」、「ダンボールが湿った匂い」、「雑巾」など様々です。この表現の違いは、ブショネの度合いや、ワイン本来の香りと混ざりあうことによって生まれますが、とにかく共通して「カビ臭い匂い」と覚えておいてください。

そして、カビ臭いと少しでも感じたら、注いだワインを数分間で結構ですので、しばらく放置してみてください。

TCAは時間が経っても残り続けるので、再度香りを嗅いでまだカビ臭いな、と思ったらそれはブショネです。自分の服の匂いを嗅ぐと、嗅覚がリセットされて、よりワインの香りが分析しやすくなるという裏ワザもあるので試してみてください。

ひどいブショネでとても飲めたものではない!
というもの以外は、TCAは人体に無害ですので、料理に使うなどしてもいいかもしれません。

劣化に対する向き合い方

Pouring red wine from a bottle into a wineglass: wine tasting and celebration

さて、スーパーなどで買った安いワインならともかく、奮発して買った何万円もするワイン、何年も寝かせておいた大切なワインがブショネだった場合の金銭的、精神的ダメージは大きいと思います。

そういった場合にお店とのトラブルを防ぐために、購入前にはしっかりと対応を確認しておきましょう!
お店やワインによっては無償で交換してくれる場合がありますが、その時には必ず現物確認が必要なので、ブショネの疑いのあるワインはしっかりと取っておくようにしてください。

しかし、多くの場合はブショネの高級ワインの無償交換は厳しいと思ってください。
なぜなら、ビンテージが古かったり、そもそもの日本への輸出割り当て量が決まっているなどの理由で、現物が少ない場合がほとんどです。

さらに、消費者が納得するまで返品、交換を続けていては販売者やインポーター、生産者はすぐに赤字になってしまいます。すると、天然コルクの微妙な酸素供給によって成り立っている長期熟成前提の偉大なワインは市場から消えて無くなっていくでしょう。

こういった状況を理解していただければ、ブショネのリスクもこういうものだ、と納得できると思います。

まとめ

Man and woman smelling wine with eyes closed.Thinking of the mysteries of wine.

ワイン劣化の原因は様々です。
今回紹介したブショネ以外でも、保管ミスが原因となる、熱劣化や酸化、細菌の混入による腐敗も起こります。そして、劣化したワインはどれだけ気をつけていてもいずれ必ず遭遇してしまいます。

そしてそれは栓を開けるまで誰にも分かりません。

ワインは生き物のようにボトル内で常に変化し続けています。長期保存に耐え、熟成によって味わいが変化していくお酒は、ブドウを原料としたワインだけです。

素晴らしい熟成を遂げるのか、劣化してしまうのか…

そんなワインの神秘に想いを馳せてみてください。
劣化に対する印象が少しは変わったのではないでしょうか?

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